雨上がりの柿田川で出会った小さな不思議

前夜に強めの雨が降った朝、柿田川を歩くと、どこかいつもとは違う空気を感じた。しっとりと濡れた遊歩道、川のせせらぎ、生き物たちの気配が、静かに、でも確かにあたりに満ちている。

第一展望台の手すりには、ぽつんと一匹のカタツムリ。朝の光を受けて、ゆっくりと這うその姿に、時間が少しだけゆるやかになる。

清水町貴船神社のお社のまわりでは、多くのサエワガニたちが姿を見せていた。近づくと、驚いたようにさーっと逃げていくのだが、不思議なことに、たった一匹だけ、こちらに向かって歩いてくる。

威嚇しているようには見えなかった。でも、どこか訴えるような目をして、じっとこちらを見つめるその姿に、なぜか胸の奥がふっと熱くなる。

自然の中では、時折こうした説明のつかない瞬間に出会うことがある。ただの偶然かもしれない。でもその小さな出来事が、なぜか心に残り、いつまでも消えない。

そんな不思議な朝の記憶。